
「お父さん、そろそろ病院に」
「いや、行かん!」
このやりとり、全国どこの家庭でも聞こえてきそうですよね。
千葉市若葉区で訪問看護を行うあみ訪問看護ステーションのスタッフも、ご家庭で同じような場面に何度も立ち会ってきました。
「めんどくさい」
「薬ばっかり出される」
「検査が痛い」
「結果を聞くのが怖い」
こういった心の本音は、親世代に驚くほど共通しています。
つまり、病院を嫌がるのは性格ではなく「行きたくない理由がちゃんと存在している」ということなのです。
まずはそれを知るだけで、親にかける言葉がずいぶん楽になります。
病院へ連れて行く時、ついついやりがちな声かけがあります。
「ダメだよ、病院行かないと!」
「ほっといたら悪化するよ!」
正論ではあります。
ただ、正論は時に、最も届かない言葉でもあります。
親世代の病院イヤイヤスイッチは、正面から押せば押すほど固く閉まります。
押し問答になればなるほど、親の心はドアノブに鍵をかけます。
実際に、訪問先で「娘がうるさいから余計に行きたくなくなった」なんて言う方もいるくらい。
大切なのは、真正面ではなく横からそっと入る声かけ。
説得ではなく、寄り添いながら方向を変えることです。
特に男性に多いのですが、自分のための病院より誰かのための病院の方が動きやすい傾向があります。
「私が心配だから一緒に来てくれる?」
「一人だと不安だから付き添ってほしい」
こう言われると「まあそこまで言うなら…」と腰を上げる方は想像以上に多いです。
訪問看護の現場でもこのセリフは鉄板。
親の頑なな心も、あなたが困るなら行こうかという気持ちに変わる瞬間があります。
結局のところ、人は誰かの役に立てる時に動きやすいのです。
「診察受けてきてください」より「お薬だけもらいに行こうか」
「この前の話、ちょっと先生に聞きに行こう」
「ついでに話だけ聞こうよ」
こう言い換えるだけで、親の心にかかっていた病院の重みがふっと軽くなります。
病院とは本来「健康を確認する場所」
しかし親世代の中には、悪いとこを探される場所というイメージが根強いのです。
だからこそ、「行く目的を変える」だけで不安が和らぐことが多い。
人間は「自分で選んだこと」には抵抗が減ります。
「午前と午後、どっちが行きやすい?」
「車とタクシー、どっちが楽?」
「短い待ち時間の日に行くのと、今日行くのとどっちがいい?」
こうした2択を渡すと、「行かされる」から「自分で決めた」に変わり、驚くほどスムーズに動き出します。
訪問看護の現場でも、ご家族が選択肢を提示すると「じゃあ午後で」とあっさり決まることが珍しくありません。
これは本当に不思議なのですが…
家族がどれだけ言っても動かない方が、看護師やリハビリスタッフの一言にすっと耳を傾けることがあります。
「念のため、先生に診てもらいましょうか」
「一度確認しておけば安心ですよ」
同じ言葉でも、専門職が言うというだけで受け取り方が変わるのです。
あみ訪問看護ステーションでも、ご家族が困っていた方がスタッフの一声で素直に受診されるケースは多くあります。
家族の力だけで頑張ろうとせず、第三者を上手に使うのも立派なサポートです。
病院を嫌がる親の多くが抱えているのは、怒りでも頑固さでもなく、「不安」と「恐怖」
こうした気持ちが隠れているだけなのです。
だからこそ、あなたの言葉が優しいほど親は安心し受診しやすくなります。
病院に行くことは大切ですが、強制した結果、親が不信感を持つと次からますます行かなくなってしまいます。
大切なのは、病院へのハードルを下げる安心ルートをつくること。
こうした工夫が、親の心の扉をスッと開く鍵になります。
病院を嫌がる親に向き合い続けるのは、家族にとって想像以上に負担が大きいものです。
千葉市若葉区で訪問看護を行うあみ訪問看護ステーションは、そんなご家族の味方でありたいと思っています。
声かけの方法、受診のタイミング、医師との連携、必要であればこちらから専門職として声をかけることもできます。
あなたがひとりで抱え込まなくていいように、そっと寄り添う存在であり続けます。