
『その人らしく過ごせたらいいですね』
在宅医療や介護の現場では、この言葉を耳にすることがよくあります。
とてもやさしく前向きで、一見すると正解のようにも聞こえます。
けれど私たちはいつも、この言葉を使うたびに少し立ち止まります。
その人らしさとは、何でしょうか。
元気だった頃の姿でしょうか。
家族が思い描く理想の姿でしょうか。
訪問看護の現場では、
この「らしさ」が、人によって、時期によって、少しずつ違っていることを日々感じます。
だからこそ、簡単に決めつけてはいけない言葉だと思っています。
医療や看護には、安全性や再発防止といった「正しさ」があります。
それらは、どれも大切な視点です。
けれど、その正しさが、ご本人の気持ちと少しずれてしまう場面もあります。
その気持ちを無視してしまったら、在宅生活は、どこか苦しいものになってしまいます。
病院は、治療をする場所です。
一方、在宅生活は、その人が日々を生きている場所です。
そこには、その人の歴史があります。
訪問看護は、医療を届ける仕事であると同時に、その人の生活の中にお邪魔する仕事でもあります。
だからこそ、医療だけを持ち込むのではなく、暮らしを尊重する姿勢を忘れないようにしています。
体調、症状、数値。
もちろん、どれも大切です。
でも、それだけで判断することはありません。
そうした小さな変化の中に、「今のその人」が表れることがあります。
看護師として、人として、そのサインを見逃さないでいたいと思っています。
その人らしさは、ずっと同じ形ではありません。
それは、自然なことです。
私たちは、過去の姿に縛られるのではなく、「今のその人」に合っているかどうかを何度でも確認していきたいと考えています。
在宅生活は、ご本人だけで成り立つものではありません。
そばにいるご家族も、同じ時間を過ごし、同じ生活をしています。
ご本人のことを考えるからこそ、ご家族が自分のことを後回しにしてしまう場面もあります。
私たちは、ご本人と同じくらい、ご家族の表情にも目を向けたいと思っています。
私たちは、千葉市若葉区で訪問看護を行っています。
この街には、この街なりの暮らしがあります。
地域を知ること。
暮らしを知ること。
それもまた、その人らしい在宅生活を支えるために欠かせない要素だと考えています。
「どうしたらいいですか?」
「これが正解ですか?」
そう聞かれることは、少なくありません。
そのとき、すぐに結論を出さないこともあります。
答えは、一つではないからです。
「一緒に考える時間そのものが、在宅生活を支える力になる」私たちは、そう考えています。
完璧であることでも、理想通りであることでもありません。
そうした日々の積み重ねが、その人らしい在宅生活につながると考えています。
在宅生活には、不安も、迷いも、揺れもあります。
それは、弱さではありません。
私たちは、その揺れごと支えたい。
答えを決めるのではなく、一緒に探し続ける。
それが、千葉市若葉区で訪問看護を続けている私たち(あみ訪問看護ステーション)の姿勢です。